2007年 06月 23日
退職届けをたたきつけたら、どんなにすっきりするだろう。と思っていたが、いざ、そうなったら、あまりにも上司がしょんぼりするので、思ったよりはすっきりしなかった。 退職届けを出した次の日、職場の人がこそこそなにかを言い合っていた。 あの人があなたのことをこんなふうに、悪口を言っていたわよ。と、"親切"に教えてくれる人がいた。 そして、その悪口を言っていたという人から、どうか辞めないで。とやさしい言葉をかけられる。 辞めたい理由は、仕事量についていけないから。ということにしておいた。 自分の能力を超えていると言っておいた。 それならばしかたがないというものだ。 能力のないものに周囲はやさしい。 だけどそのやさしさは、自分の能力が"上"であると誇示しながらの、いやみなやさしさで、 ときどき、円満退職という自分がたてた小さな目標でさえも忘れそうになることがあった。 取引先に辞める旨を知らせる。 この会社から出る締め切りを守るために、ずいぶん残業をした。 メールのやりとりもたくさんあった。 もっと何か言ってくれると思ったら、帰ってきた返事は、 あ、そう。 みたいな感じだった。 そりゃ そうだよな。 大切なのは、次のレポートもちゃんと締め切りどうりに届くかということだけだ。 おれが辞めたらこの会社はどうなってしまうんだろう。と思っていた。 代わりの人はすぐに見つかった。 彼女はすぐに会社の雰囲気になじんだ。 まじめないい人だった。 おれは、何様でもないのだった。 とまた気づく。 最後の日は、上司とランチに出かけた。 仕事の話はせずに、家族の話などをした。 目を細めて自慢の娘の話をする彼は、ちっともいやな人なんかじゃなかった。 私たちはたくさん笑った。彼は本当はいやな人じゃないんじゃないか。と思ったが、ウエイトレスに対する横柄な態度を見て、ああ、やっぱりいやだ。と思った。 オフィスに帰ったら、カードとプレゼントが用意されていた。 周りの人は今度は本当にやさしい顔をしていた。 私の悪口を言っていたという人は、なみだぐんで、花をくれた。 辞めないで欲しかった。とまた言った。 そういえば彼女が人の悪口を言ったところを、この半年、1度も聞いたことがなかった。 あの日、私はすごくいやな気分になったけど、あれは本当だったのだろうか。 でも、そんなことはどうでもいい。 やめるんだから。 みんなが帰ったオフィスで、ひとり片付けものをしながら、思いかえす。 いやなことばっかりじゃなかった。ただ、いやなことばっかり思い出すほど、疲れていた。 あのままあそこにいたら、体か、精神か、家庭のどれかがこわれちゃったと思う。 やめるときは、絶対、なんかしてやる。 ただでやめるものか。と思っていた。 だれもいない。 入り口に うんこでもなすりつけていこうか。本気で考えた。
by akkohubb
| 2007-06-23 13:48
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